君のトナリ








〜香穂子side〜




今日の部活は少し難しい技。

私がタワーの一番上になるからすごい緊張する。

―できた!



「きゃぁぁっ」

ボールが飛んできて下がぐらつく


――あっ


「香穂子!!」

理奈の声で目を覚ますと足に痛みを感じる


捻挫したかな…


「大丈夫か!?」

土浦くんやサッカー部の人たちが心配そうに駆け寄ってくる


「うん、あんまり大したことないから…」

「捻挫か?少し我慢しろよ?」

と、いわゆる、お姫様だっこで持ち上げられる

周囲の女子からは黄色い歓声があがってるけど、私はめちゃめちゃ痛いし、恥ずかしい


保健室まで連れてってくれた土浦くんが手当してくれた


「ありがとう、それに重かったでしょ?ごめんね」

「別にいーって。サッカー部のせいでもあるしさ…こっちこそ悪かった。」

土浦くんはニヤっと笑うと

「でも本当重かった。肩折れるかと思ったぜ?」

「あのねぇ?本当に折りましょうか?今ここで!」


二人で見合わせて笑い合う

こうして話すと土浦くんも良い人じゃん

そうだ…謝ることがあった…
「あの…蓮くんのことだけど…ごめん」

「蓮?」

「えと…月森くん。音楽科の。」

誰の事だかわかったのか、さっきまでの土浦くんの表情が一変した



「蓮くんがあぁ言ったのは、私のせいなんだ。だから蓮くんのこと誤解しないで。」

「お前のせい…?」

「うん、私も人前で弾けなくて…その…コンクールで」



言いかけた時に保健室のドアが乱暴に開けられ、息をきらした蓮くんが入ってくる


「香穂子!ケガをしたというのは本当か?大丈夫なのか?」

「うん、大丈夫だよ。ただの捻挫だから。」

「そうか…でも病院に行こう。念のために精密検査もした方が良いんじゃないか?」

「オーバーだなぁ…。大丈夫。一週間ぐらいで治るって。土浦くんが手当てしてくれたんだよ」


蓮くんが土浦くんを一瞥する。


「君の音楽に対する姿勢と良い不愉快だ…香穂子に近づかないでくれ。」

「蓮くん!そういう言い方はないでしょ?」

「別にお前に言われる筋合いはねーよ!お前に俺の何がわかるって言うんだ」

「何も。ただ、不愉快なだけだ…香穂子を助けてくれたことは感謝するが、香穂子に関わらないでくれ」
「あぁそうかよ!悪かったな!」

そう言うと土浦くんは乱暴にドアを閉めて出て行ってしまった




「彼の不用意な言葉で香穂子の過去を抉りたくない…」

蓮くんが私の頬を優しく撫でる

「……指何ともなくて良かった…。香穂子の指からでしか生まれない音楽があるから…」

蓮くんは私を抱き上げると「帰ろう」とほほ笑んだ


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<あとがき>
魚月も帰る!(←どこに?)
れんれん!なんて君はかっこいいんだ!そして土浦くんファンの方がご覧になってたら
すいません…。
“あの事件”はコンクールで…乞うご期待♪

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