君のトナリ













〜蓮side〜



「俺も…お前と月森が付き合ってるのかと思ってた…
 でも、違うなら…俺と付き合ってみないか?」

香穂子を迎えに行こう…
そうして辿りついた時に聞こえて来たその会話に俺は後頭部を鈍器で殴られたような感覚がした

他の男が香穂子に告白をしている

そんな現場に居合わせるなんて


しかも相手は土浦だ


香穂子は彼にドキドキしたと言っていた

香穂子は何と答える?

そうしたら、俺との仲はどうなる?


段々と怖くなっていった


俺は香穂子に俺を好きになるように、男として見るように言った

それは間違いだったんじゃないか


今まで通り幼馴染でいれば、ずっと傍にいられる

男として見られなくても彼女の一番近くにいられる


咄嗟にそう判断した


「私と土浦くん…付き合った方が良いと思う?」

香穂子の質問は正直、答えに迷った…


「上手くいくんじゃないかと…俺は思う。」


正直、自分のその言葉におかしくなりそうだった。


10年も傍にいた彼女の心をこんな簡単に盗られてしまうなんて

俺はそれ以上に自分の行動力のなさにも辟易していた

君は気付かないだろう…どんな思いで俺がこの言葉を絞り出したかも

気づかなくて良い

君の傍にいられるというその権利さえあれば

幼馴染という長い絆に繋がれていれば



「蓮くん、私、土浦くんと付き合うことにしたよ。ちゃんと返事したから。」

「そうか…」

香穂子が笑顔で俺に報告する。
俺はそれに上手く答えることができただろうか?


君の笑顔が壊れなければそれで良い
たとえ俺の心が壊れてしまったとしても…













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<あとがき>
最後のフレーズに一人で胸きゅんしてしまったオレ…つくづく危ないです;







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