〜香穂子side〜
蓮くんに避けられてる
蓮くんの気持ち…全然わからなかった
だからかもしれないけど
今までずっと一緒にいたのに…こんなことで終わっちゃうの?
登下校も時間をずらされるようになった…
私は意を決して音楽科の校舎へと向かう
2−Aの教室に行き、蓮くんを呼んでもらうように告げた
普通科の私はとっても浮いていてただでさえ居づらいのに、
私の姿を見た蓮くんの視線が更に私を辛くさせた
「蓮くん、今日は一緒に帰ろうよ」
「……練習があるんだ。それに帰らないと言ったのは君だろう?
つくづく、嘘をつくんだな…」
冷たい目で見られる
「…………ごめんなさい。」
私はトボトボと普通科の校舎へ引き返す
蓮くんとこんなに話さないことなんて初めてだ…
何で…?今までと同じじゃダメなの?
私は蓮くんが大切なのに…
それじゃダメなの?
蓮くんの気持ちがわからない…
〜蓮side〜
俺はそれから香穂子と全く顔を合わせないようにした
ショックだった
彼女が誰も好きじゃないならそれで良かった
なのに…他の男にときめいたと言われたんだ
10年も一緒にいるのに俺とは違うと
彼女の口からはっきり告げられたんだ
「蓮くん、今日は一緒に帰ろうよ」
「……練習があるんだ。それに帰らないと言ったのは君だろう?
つくづく、嘘をつくんだな…」
大きな瞳が辛く歪んでいく
「…………ごめんなさい。」
傷つけているのがわかる…
だけど…俺は君にどう接したら良いのかわからない…
ピアノを弾かせるんじゃなかった
そうすれば香穂子はまだ、俺の中にいたのに
俺のためだけにピアノを弾かせていれば良かった
セレクションの結果は4位…散々なものだった…
彼女が傍にいないことが俺を不安定にさせる
傍にいられれば良かったのに俺は自分でそれを壊してしまった
香穂子も俺に絶望しただろう…
俺に裏切られたと思っただろう
弟と思うぐらい信用していた男に“その対象”として見られていただなんて
だから安心しきって一緒に寝たりしていたのだろう
だけど自然と優越感もある
香穂子の初めてキスした相手は俺なんだ
他の誰でもない…俺なんだってことが嬉しい
もういい…それだけで満足だ…
香穂子をもう苦しめたくない
俺のことなんかで
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<あとがき>
蓮くんも香穂ちゃんもどんどん離れていく状態に… このまま二人はどうなるのか…そして悩ましげな蓮くん好き…vv