君のトナリ











〜香穂子side〜



私は音楽科へと急ぐ

―土浦くんと話してて蓮くんに一緒に帰ろうって言うの忘れちゃった


何か怒ってるわけだし、蓮くんと仲直りしたいしね。


「日野さん?」

私は穏やかな声に呼び止められる

「えと…柚木先輩?」

で、名前合ってるよね?

「どうしたのかな?月森くんを探しにきたの?」

「はい。蓮くんと一緒に帰ろうと思って」

「立ち入ったことを聞くけど、君と月森くんは幼馴染なんだってね。」

「はい。」

「仲が良いのは良いことだけれど…どうなんだろう…
 月森くんの今後にも関わってくるしね…」

「なんのことですか?」

「音楽科でも君が月森くんの彼女ってことになってるんだ。
 だけど、そしたら月森くんは彼女作れないと思わないかい?
 それに…君も。」

「土浦くんにも誤解されちゃうよ?」

「なっ///別に違います!」

柚木先輩は口元に手を当ててくすくすと優雅に笑う

「本当、日野さんってかわいいね。
 月森くんのためとか言ったけど違うんだ…月森くんが独り占めしてるの
 なんか許せなくてね。君のこと…好きになっちゃったのかな?」


――えええええええっ!?


「じゃあ気をつけて帰ってね。」


私は柚木先輩が背中越しに口角を上げて笑ってるなんて気付かなかった





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ウザいんだよ…

お互い信じあってて
お互いのために何かをしたいとか犠牲になりたいとか


そんな奴らにコンクールで優勝させるほど俺は人間が出来てないんだよ


目障りだ

次のセレクションではせいぜい乱れた演奏をするが良い

自分の行動力のなさに悲観するんだな――月森蓮












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<あとがき>
せ…せんぱぁい…vvハッ…お部屋が違った!!
  とうとう策士が始動しだしましたよ!すっかり翻弄されてる香穂ちゃんが
蓮くんに引導を渡してしまう…






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