君のトナリ










〜蓮side〜


「香穂子ちゃんの演奏、素晴らしかったわ!」

「ママありがとう♪」

「本当に素晴らしかった。ゼヒ私とも合わせてもらいたいな」

「私もパパと合奏したい〜」


だから…本当にこの家の子どもは誰なのだろうか…

両親…特に母さんは香穂子が演奏できなくなったことに責任を感じていたみたいだから
今日のことは一段と嬉しいのだろう


そんなこんなで演奏会を開き始め、気づいた頃には夜遅くになっていた

「香穂子ちゃんのお家御留守なんでしょ?今日泊まっていけば良いじゃない」

「うん、じゃあそうする。
 久々に一緒に寝ようね、蓮くん」

「っ!!なっ…なにを言ってるんだっ///」

「なにが?」

「君は客間で寝ろ!俺は失礼する///」


そう言って部屋を後にする俺を香穂子は不思議そうな顔で見送る


昔はよく俺の部屋で一緒に寝た
遅くまで練習して、疲れて一緒に寝てた
だけど…今は全然違うだろう…あの頃と…
一緒に寝たりしたら何も感じないわけないんだ



深夜に俺の部屋がノックされる

パジャマ姿の香穂子が入ってくる

「蓮くん、寝ちゃった?」

「いや……まだ起きてた。」

「やっぱり一緒に寝ちゃだめ?蓮くんの家の客間、広すぎて落ち着かないんだもん」


上目づかいで見られて俺が断れるわけがない


「……わかった。だけど離れて寝てくれ」

「なんで?でもやったね」


香穂子が俺のベッドに入ってくる
やっぱり成長した俺たちが寝るには少し狭くて…

「なんで背中向けるの?蓮くん、こっち見て寝てよ」

「良いだろう…子どもじゃないんだし」

香穂子と俺の距離がだんだんと縮まる
洗いたての体の香りがしてきて…俺の動悸が早まる

「蓮くん、体熱いよ?熱でもあるの?ねぇ…」

香穂子が俺の体温を確かめようとおでこに手を当ててくる

それと同時に背中に柔らかな感触が押しあてられる
下着をつけてないから…リアルにその感触が伝わってきて…


「っ!……///」

俺は堪らず起き上がる


「どうしたの?」

「……………あたる」

「え?」

「胸があたる!///」

「そりゃ腕だって胸だって当たるでしょ?一緒に寝てるんだから」

「そういう意味じゃなくて…その……触りたくなる…///」

こうなればもう言うしかない…
香穂子に気づいて欲しい…自分が今、男にしていることに


「なんだぁ…良いよ」

俺は思わず耳を疑った

「は?」

「別に触っても良いよ。だって幼馴染の蓮くんだもん。」

つまり、彼女にとっては男じゃないってことだ
俺の中で沸々と怒りが込み上げてくる

「絶対触らないっ!」

「なによ…わけわからないんだから」

「わからないのは香穂子の方だ!鈍感!」

「なによそれ!」

「俺は寝る!話しかけないでくれ!」

俺はフテ寝した
香穂子もグチグチ言いながら眠りについた


君にこの気持ちを告白したら俺を男としてみてくれるのだろうか








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<あとがき>
恋心を募らせる蓮くんと全く気付かない香穂ちゃん…
二人の試練がここから始まります☆





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