〜香穂子side〜
朝ごはんを蓮くんの家で食べてる
両親もお姉ちゃんももう早くに出かけてしまったから
いつも蓮くんは寝起きが悪いけど、今日は心ここにあらずって感じだ
「何かあったの?」
私は2個目のトーストを食べながら問いかける
「あぁ…たいしたことじゃないんだが…あの人たちが次のコンクールに来るらしいんだ」
「パパと美沙ママが?」
「学校から特別に招待されたらしい」
私は蓮くんの言葉にトーストを食べる手を止める
“特別に”蓮くんが嫌いな言葉だ…
そうやって他人とは違う待遇をされること
音楽一家のサラブレット…その言葉のせいで蓮くんはどれだけ傷ついたんだろう
「何も変わらないよ…蓮くんは蓮くんだよ。」
こんな時、何て言って良いのかわからなくなる
「わかってる…いつも通りの演奏をするだけだってことも。」
「うん…」
お手伝いさんに急かされて私たちは家を後にした
〜蓮side〜
――さすが月森さんの家の御子息ね
練習に身が入らない…
あの人たち…両親が来るというだけで途端にこうだ
昔、出たコンクールを思い出す
“月森”の名を背負って出ること
俺にとってはものすごく苦痛だった
名を背負っているからこそ上手く弾かなくてはという思いと
上手く弾いても“月森”として評価されることへの不満
言われないためにも、もっと高みを目指してひたすら練習した
――蓮、音楽は自分も愉しむものなのよ
母さんのあの言葉の意味…俺には上手く表現できない
それを実現させたのが香穂子だった
香穂子の音楽は彼らの音楽に似ている
あの忌々しい事件さえなければ、
学内コンクールだって香穂子が選ばれていたのではないか
俺はそう思っている
あの忌々しい事件さえなければ
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<あとがき>
蓮くんファンのみなさん!そして魚月の書く「君のトナリ」を応援してくださってるみなさん!
お待たせしました!!
次はいよいよ!!いよいよ事件の内容が明らかにってどうしよう…内容微妙だったら…
←途端に不安になった。
とっとにかく頑張りま〜す♪