Point of No Return〜戻れない路〜







〜梁太郎side〜


それは大学2年の春のことだった



「お前、何で間違うかな〜?」

音大のコンパでウーロン茶と間違えて
香穂は隣の先輩のウーロン杯を飲んでしまっていた


「らってさ〜色が一緒らっらよ?」

「あーはいはい。ちゃんと見てなかった俺が悪いわ。」


俺はこの酔っ払いを担いで自分の部屋へと向かう

何故なら
こいつの自分の家の説明はちんぷんかんぷんでさっぱりわからない。
もう2時間も歩かされたからだ。



マンションに着くと香穂の靴を脱がせて自分のベッドへと寝かせた


「ほら、水飲めよ」

「うーん、ありがとう」


―ったく、こいつは本当に世話がかかる
 まぁ別にこいつの世話をするのは嫌じゃねーけど…



「風呂入るか?着替えとりあえず俺ので我慢しろよ?」

「はーい」



酒が入って陽気になった香穂は意気揚々と風呂場へ向かった



―普通、ちっとは警戒しないのかよ!
 無防備極まりない!
 これが俺じゃなかったらとっくにヤられてるぞあいつ!


そう思うと、自分のポジションを再確認させられる

俺は香穂にとって男友達に過ぎないんだってことに




「お先にいただきました〜土浦くんも入れば?」

「おう」



そんな自分の惨めな心を洗い流すかのようにシャワーを浴びる




「まだ寝てなかったのかよ?気持ち悪かったりしないか?」

「うん、時間がたったからか落ち着いてきたし、
 ベッド使うの悪い気がして…」

「別に気にすんなよ。俺は床で寝るから」

「…うん、でも私が押しかけたようなものだしさ?」



とりあえず俺は香穂の隣に座る



俺のトレーナーはダボダボで
膝の辺りまですっぽりと覆っている

トレーナーの裾から伸びる細い足が妙に色っぽい

風呂に入ったからか上気してほんのりと赤くなった頬
桜色のぷるんとした唇…




―触りたい




「…ゴクリッ」

思わず生唾を飲み込む

俺は自分の中がアツくなるのを感じて香穂から目を逸らした

洗い上がりの髪からたちこめる匂いが
俺をまた誘惑する
いつも使っているシャンプーなのに
香穂が使うとなんで甘い香りなんだろう…



―いけない。俺はこいつの友達なんだ…



再度、自分に言い聞かせる



突然、香穂は俺を見つめてくる

その視線に気づいて俺も目を合わす




「……じゃあ一緒に寝る?」

「えっ?」



―こいつは意味がわかってないのか?

少しの沈黙が訪れる

「!?」

俺の唇を香穂のそれが優しく包み込む

「一緒に寝ようよ?」



俺の理性は全て壊された



香穂の身体は思ってた以上に華奢だった
力を入れすぎたら壊れてしまいそうだ

俺の手にちょうど収まる胸は柔らかくて弾力がある

「…っ…ぁ…」

香穂から溢れ出る甘い声は俺が望んでいたものだ…



やっと…やっと手に入った
そんな喜びで俺は貪るように彼女を抱いた



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