マイ・フェア・レディ
クラス替えかぁ……
もうそんな季節になったわけで
私も先輩になるわけだし、もっとしっかりしなきゃねvv
梓馬とは…今まで通り上手くいってるけど…
やっぱり最近ちょっと変
私のことを求めすぎる…
前から、そういうこと好きだなぁとは思ってたけど…
今はどこでも、いつでも関係なくなってる
そんなの梓馬らしくない
俺様だけど、紳士的なトコがいつもあったのに…
クラス替えの表を見ながらぼんやりしていると
ポンっと肩を叩かれた
「香穂ちゃん、また同じクラスだね♪」
「森ちゃん♪うん、また宜しくね〜」
そう!森ちゃんと同じクラスになれたなんて
ホントついてる以外の何物でもない☆
森ちゃんと連れだって2−Aの教室に向かった
「うっわ〜日野ちゃんと同じクラスだぜ。ラッキー」
「入口を塞がないでくれないか?」
「あ、月森!お前、日野ちゃんと隣だぞ!!」
「『ひのちゃん』……?」
俺はクラスメイトの発した不可解な単語を繰り返す
「知らないのかよ!?
めっちゃくちゃ、かわいいのに。
ファンクラブも出来てるし、
何しろ、あの柚木さんがメロメロになってるって噂だぜ」
「俺には関係ない」
そんなことか…くだらない…
新しいクラス、隣の席、俺にとってはどうでも良い話だ…
しかし…あの柚木先輩が夢中になる少女ということは
やはり類まれな演奏技術を持っているのだろうか
俺の中で、その少女の演奏を聴いてみたいという興味が湧いてきた
そんなことよりも、少しでも多くの時間を演奏につぎ込みたい…
席に着くと俺は楽典を開く
にも関わらず…
『やっぱすんげーかわいいなぁ!』
『マジ、抱きしめたい!』
『男に媚び売ってるって感じ…なんかムカつく…』
『柚木さまと親しいんでしょ…?なんか納得かも…』
様々な声が交錯し、その渦中の人物であろう少女が俺の隣に座った
「初めまして、日野香穂子です」
そう挨拶してきた彼女は聞いてた通り、とても可愛らしい女性だった
「初めまして」
俺は簡潔に挨拶を済ませると再び楽典に視線を落とす
「それ、何?もしかしてヴァイオリンの本?」
「…………済まないが集中できない。話しかけないでくれないか。」
彼女が「けちぃ」と言いながら頬を膨らませた
「日野さん」
「あず……柚木先輩、どうなさったんですか?」
やっと静かになったと思ったのに……
柚木先輩の登場でクラスの女子の黄色い声がすさまじい
「君のことだから、新しいクラスで失敗でもしてるんじゃないかと思ってね。
心配して来たんだよ」
「失敗なんてしてないもん!」
微笑む柚木先輩にいかにも親しそうな日野さん
彼女を羨む声がひそひそと聞こえだす
「くすっ…ムキになって怒る所を見ると、図星だったのかな?
月森くんが隣なんだね。彼女が迷惑かけると思うけど、宜しくね」
「………はぁ。」
俺は適当に相槌を打った
柚木先輩がそこまで心配するということは
やはり類まれな演奏技術の持ち主なのかもしれない
彼女の机の横に置いてあるヴァイオリンケースに目をやりながら
俺はライバルの出現を予感した
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<あとがき>
予告していた人物は蓮くんでした〜v
何気にみなさん、予想済みでしたか??
これから、どんどこどんどこ梓馬くんを揺らします!いや…ほのぼのと?
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