マイ・フェア・レディ











「香穂ちゃん!!香穂ちゃんってば…!」

森ちゃんの声で目を覚ます

「え?私が指される番??」


少し暗がりの中の教室?にしては広い

「寝ぼけすぎ……次、柚木さんだよ」

周りに聞こえないように耳元でそっと教えてくれた



ここはコンクール会場で、舞台の上では白のタキシードに身を包んだ梓馬がいた

今日は学内音楽コンクールの日

梓馬の音色は優雅で気品に満ちているけど感情はあまり込めていない


調整なんてしなきゃ良いのに……


家を出たにも関わらず、将来のためだよなんて
未だに自分のペースを崩せない梓馬は何だかちょっとかわいかった


だってこれが正しいんだよって俺様な意見を変えないんだもん


でも、変えられてもっと人気になっちゃったら……


そう思うと私の心の中で何かがざわめいた


本当の梓馬を閉じ込めたい気持ちが芽生えるのを感じた



なに……?



胸がきゅんと締め付けられる


梓馬のことを見てうっとりしているおねーさま方に激しい嫌悪感が出てくる




「香穂ちゃん?大丈夫?」

森ちゃんが隣で心配してくれていた


「うん。ちょっとぼーっとしちゃって。」


森ちゃんには梓馬とのことを言ってあった
どこかサバサバした性格の森ちゃん、私は彼女が大好きだ



「総合3位か…俺のシナリオ通りだな」

「うん………」

「不満?…本気は出さないって言ってあっただろ?」

「違う。そのことじゃない。」

「じゃあ何だよ………」

誰もいない控室で着替える梓馬の傍にいる私


「モヤモヤしたの」

「は?俺の演奏が?」

「違う!まぁそうなんだけど、そうじゃなくて……」

「なんだよ…?」

全く意味がわからない私の話に梓馬がイライラしだしている


「………みんなに見られてるのがイヤだったのかも」

「俺が?」

「うん。そっかぁ〜なんかスッキリした」


突然、梓馬が笑いだした

「お前、やきもち妬いてたの?」

「やきもち?これが?」

「へぇ……かわいいこと言ってくれるね」


啄むようなキスが何回も落ちてきた

「ここでしてく?」

「っ!!///外で待ってる!!」


梓馬のそういう態度は本当に困る…///
だけど…喜んでもらえたなら良かったのかな??

私の中の嫌悪感もすーっとなくなっていく

だって梓馬がこうするのも私にだけだから






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<あとがき>
かーーーっ!柚木さま大好きvv
そんな余裕もそのうちなくなっていきます☆





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