マイ・フェア・レディ
「そういえば、梓馬は春から高校生だよね?
どこに行くの?」
「星奏学院の音楽科だよ」
セミロングの香穂子の朱色の髪をかき分け
その首筋に舌を這わせた
「んもう!集中できない!」
香穂子は今、おじいさんから言われた
締め切りに間に合わせようと必死だ
「なに?俺じゃ不満なわけ?」
「不満とか不満じゃないとかじゃないの!!」
仕方なく俺は香穂子から離れて
フルートを吹き始める
本当に香穂子は変わったと思う
姿勢もシャンとしたし
何よりも仕草が女らしくなった
体のラインもより女性的になった
少し胸のあいた服を着ているせいか
屈むと谷間が垣間見える
それでいて引き締まったウエストに
ほどよく筋肉がついたスラリとのびた脚
ただ、あどけなさは変わってない
俺に向ける穢れを知らない栗色の瞳も
太陽のような笑顔も
大抵の男は放っておかないだろうな…
俺の思惑は成功したはずなのに
何だろう…このざわめきは…
そうだ…そういえば服
俺は突然立ち上がると
引き戸を開けて香穂子の服をチェックした
「梓馬!?どうしたの?」
「もっと俺好みの服はないのかよ…下着も」
「俺好み?ってゆーか下着って!?」
「今から買いに行くぞ」
「えぇっ??私には締め切りがぁ…〜」
香穂子の抵抗をもろともせず、
俺は引きづりながら車へと押し込んだ
「次はこっちを着て」
もう何十着試着してるんだろう…
梓馬はやっぱり優等生フェイスで
「体のラインが綺麗に見えるものを」
とか言っているし
「この淡い色も良いけど白のワンピースも良いな…
じゃあ、これで」
ってえっ?
10着ぐらいまとめて買っているし…
ここ高いんじゃないの…??
そしてオートクチュールの下着屋さんに連れて行かれて
サイズだけ測られたら
あとは梓馬が打ち合わせって
一体誰のモノなんだか…
生憎私はノンストップの俺様に抵抗する術を持っていない
それに何だか俺様の時の梓馬は、とても楽しそう…
だから良いかなって思う
数週間後、郵送で送られてきた
服と下着(とゆーか下着に)に声も出なかった
ななななんなのこれは!?
わからない…服はこんなに上品なのに
俺様のチョイスを
私もいつか理解できるのでしょうか…?
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