★サイコ・ドラマ★










それからの二日間、月森は俺と目を合わせようとしなかった


香穂子とさえも


面白いねぇ


絶望したか?


淡い恋心を抱いていた少女が

男に傅いて喜んでるんだもんな


俺としては大満足だ





合宿が終わって学校に通うようになってから

香穂子が必要以上に纏わりついてくる


「先輩…会いたいんです…」

「先輩に愛されたいんです」


ウザくてしょうがない


「お前さ……欲求不満なんじゃないの?」

振り向いて残酷な言葉を吐いてやると
傷ついたような瞳をする

そうやって誰にでも感情を出すことができて羨ましいよ
俺は常に堪えなきゃいけない
出さないようにしなくてはいけない



本当はお前のことが一番、ムカつくのかもしれない



「愛されたい…?愛情という名目で俺を拘束するな
 俺の心を縛れるのは俺だけだ」

俺は香穂子に歩み寄ると耳元でこう囁く


「そんなにヤりたいならさ…月森くんにしてやれよ?
 それが俺からの命令」


「………先輩は…先輩はそれで良いんですか…?」

スカートの裾を掴みながら必死に何かを堪えて聞いてくる


「ハッ…俺に何を望んでるのかな?
 言っただろう?命令だよ…
 月森くんに教えてあげろよ…淫らなお前の姿をさ…」


香穂子は泣かなかった


ただ瞳から何かが消えて茫然としていた



だが泣かなかったのはさすがだよ

ここで泣いてすがられたら俺は益々興ざめだ


そこは俺がマリオネットとして見出しただけの価値があるんだろうな



月森が抱くとは思えない

抱いたとしても、益々葛藤すれば良い


ぬるま湯に浸っていた時間の分だけお前は苦しめ


そんな俺の考えがどんどんと心を侵食する



「ちゃんとやれよ…俺に愛されたいんだろう?」


香穂子に止めの言葉を刺すと俺は屋上を後にする


抜け殻のような顔をした香穂子と俺の満足感を残して









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<あとがき>
あ〜上げてしまった…。このブラックさ、堪らないvv魚月は大好きです!
“自分の心を縛れるのは自分だけ〜”は、かつて自分が言った失言セリフ…
だから長続きしないんだな…(遠い目)



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