夕食のあと、応接室でみんなでトランプをしよう
火原が考えそうなことだ
お前たちがするのはトランプじゃないだろう?
香穂子の争奪戦だろう?
お互いの牽制だろう?
俺は譜読みをするという名目で一人、少し離れたソファでその様子を観察する
「あっごっ…ごめんね///」
どうやらカードを引く時に手が触れてしまったらしい
火原の顔がみるみるうちに赤くなる
「先輩…カード引いてもらって良いっすか?」
この間の練習の邪魔をされた土浦がその様子を見て
不機嫌な声を出した
「あ、うん」
土浦は度々香穂子を見る
好きな女が気になって気になって仕方ないんだな
「せんぱい…ボク、なんだか眠くなってきました…」
志水は目をこすりながら香穂子に抱きついた
「大丈夫…?」
「せんぱいの温もりを感じると自然と落ち着きます…
音楽もせんぱいのことも…追ってしまいます」
志水は香穂子の胸元に顔を埋めるながら、こちらを見た
母性本能をくすぐられている香穂子は、その意味はわからないだろう
土浦は苦い顔をしながら
火原はうろたえながら
その様子を見ていた
それにしても……俺にも牽制とはね…
音楽にだけ夢中になっていると思っていたのに…
侮れないね
月森は相変わらず無表情だった
何も感じないわけないだろうに…
おまえの淡い恋心はそれだけ純粋ってことかな?
気に入らないね
とても
気に入らない
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<あとがき>
次回、とうとう悪魔が降臨!!!
ホントに!ホントに蓮くんオンリーファンは見ない方が良し!!