フカフカのベッドの上で目を覚ます
天井には綺麗なシャンデリア
そうか…ここはいつものホテルだった…
ベッドサイドの時計を見ると23時
もう梓馬は帰ったかもしれない
彼は大学在学中に結婚を決めた
決めたというのは表現が間違っているかもしれない
正しくは結婚させられた
どこぞの社長令嬢とかいう奥さんは
自分の肩書きにふさわしいと梓馬は言っていた
優しい先輩と慕う後輩…そんな仲が壊れたのはあの時かもしれない
哀しそうに微笑みながらも心の奥では噛みつかんばかりの欲を併せ持つ
そのギャップにとてつもなく惹かれた
私自身も同じものを持っている
梓馬の中に自分を見た
梓馬と体を重ねると思いが同化して…とても心地良い
こういうのを相性が良いというのかもしれない
「起きた?」
ふと声がする方を見るとシャワーを浴びたばかりの梓馬が立っていた
「帰ったんじゃなかったの?」
「香穂子が起きる顔が見たかったからね…待ってたよ」
優雅にベッドに腰かけるとそのまま口づけてきた
「もう……帰れば?」
いつもそうだ…私はかわいくないことを言ってしまう
「ふふっ相変わらず冷たいね…?まぁ…お前の意見なんて聞かずに帰るトコだったけど」
身支度をし始めた梓馬を見て引きとめたくなる…
でも、それはできない
「お前は?このまま泊まっていくの?帰るなら車代出すけど?」
「……少ししたら帰る。お金は要らないから。
もらう理由なんてないし…」
「そう?じゃ俺は帰るね。色々とうるさいから…。」
フッと軽く笑うと「また連絡する」と言い残して梓馬が去って行った
もっと彼を引き留めたい…そうすることはルール違反だ
私は一番ではない
梓馬がいない部屋で私の思いだけが空しく揺れた
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<あとがき>
帰ってしまう時が一番寂しかったり…
でも、帰ると結構あっけらかんって感じになったり(←どっちだよ)
とにかく、なんか目の前にいないと穏やかに過ごせたり過ごせなかったり…
その後のメールとかはウザく思いますね。あくまでも魚月の意見。