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紫陽花







♪ピピピピ~

私の携帯が鳴る

この着信音は…

「蓮くん?」

『あぁ…今、大丈夫だろうか?』

「うん、どうしたの?」


電話での蓮くんの声ってちょっと色っぽい…
未だにドキドキしちゃうんだよね///


『…―穂子?』

「わぁっ!はい!」

『聞いていなかったのか?』

「ごっごめん。ちょっとボーっとしてて。」

『相変わらずだな…。今から出てこれないか?ホテルのディナー優待券をもらったんだ。
 夕食でも一緒にと思ったんだが…。』

「行く行くっ!じゃあオシャレしないとね♪」

『そんなに気合いを入れなくても良いから。そうだな…18時にロビーで』



もうっ!いっつも用件だけなんだから!


私は蓮くんに買ってもらった白いワンピースを着る

「できたっ」

うん、なかなかじゃない?

髪は後ろでまとめてシルバーの髪留めをつけた
胸元にはパールのネックレス
足元はリボンパンプスで今日は清楚にまとめてみた


「うわ…何か雨降りそう…」


今にも泣き出しそうな空模様を見て傘を持って家を出た



蓮くんとの待ち合わせにはまだ少し時間がある
せっかくだし、お買い物をすることにした


「はぁ…クロエのワンピとか欲しいなぁ」

ふんわりしたシフォンのワンピにうっとりする

庶民の私が買える額じゃないし…
はぁ…


だんだんと強くなりだしてきた雨
私はどこかカフェで時間を潰そうと、その場を立ち去ろうとした時だった



パシャッ



傍を通った車で泥水が跳ね、白いワンピが汚れてしまった


「ついてない…」


キィ


「すみません…服汚れてしまいましたか?」

車の後部座席から降りてきた人が私に話しかける

その声には聞き覚えがあった



「柚木…先輩?」

「あ…日野…」



何年ぶりだろう…
先輩は高校生の時よりも男の人って感じだった


「お前、トロいから水がかかるんだよ。」

こういう所は相変わらずだ…
さっきまでの紳士的な態度は私だとわかった瞬間になくなる

「もうっ5年ぶりだっていうのに開口一番でそれはないでしょう!」

「だってそうだろう?とにかく、それじゃ過ごしづらいだろ?
 服買ってやるよ。」


ずるずると引きずられたのは、さっき見てたクロエで…


「お前はこういうのが似合うね。」

私が欲しかったシフォンのワンピース
先輩が選んでくれた


「で、でも…こんな高価なもの頂けません。」

「別に。俺にとっては高価じゃない…受け取れよ。
 それとも、かわいい後輩の日野さんにとせっかく僕が選んだのに気に入らないのかな?」

「いえっ!ありがたく頂戴させて頂きます。」


「これで」とカードで支払う先輩


その左手の薬指には指輪がはめられていた


「先輩、ご結婚されたんですか?」


先輩は少し驚いた顔をするとすぐ意地悪な顔になった

「なに?残念だった?」

「ちっ違います!///ただの世間話です!」


こうやって私のことからかうの、ホントやめて欲しい


「お前は?まだ月森くんと付き合ってるの?」

「え?はい、そうですけど。」

「ふーん……」

「なんですか!?」



「別に…ただの世間話だよ」

先輩が一瞬だけ寂しそうな顔をした…


「送って行ってやるから乗っていけ」

促されるまま、先輩にエスコートされて車に乗る


久々の柚木先輩の家の車


「うわ~なんか懐かしいです」

「お前はいいね。相変わらず気楽そうで。」

先輩がダルそうに髪をかきあげた


「先輩はお忙しそうですね。なんか疲れてませんか?」

「お前に心配されるようになったら俺もおしまいだな」


そんな昔懐かしい先輩との会話をしていたら、あっという間にホテルに着く


「お前の服、クリーニングに出して届けさせるから」

「そんなことまで良いですよ。クロエ買ってもらえたし♪」

「現金なやつだね?とにかく俺が構うの。早く愛しい月森くんの所へ行けば?」


先輩にまたからかわれる


「わかりました///色々ありがとうございます。
 先輩、無理しないでくださいね?」


先輩は私にフッとほほ笑むと颯爽と車で消えて行った









「香穂子」

「蓮くん、ちょうど良かった♪」

タクシーで来た蓮くんに会う


蓮くんが私をじっと見る

「ねぇ、これカワイイ?ずっと欲しかったものなの」

一回転して見せる

「…少し丈が短いんじゃないか?」

「そう?これくらいがカワイイんだよ。」

「俺はそう思わない」


むぅぅぅ!そういう時は嘘でも褒めれば良いのに!!
私の機嫌が一気に悪くなる



「じゃあ行こうか?」

蓮くんはそんな気持ちに気づかずスタスタと歩き出す

正直な蓮くんだから惹かれたんだけど…
こんな時はちょっと不満…もう諦めてるけどね


「ふ~~ごはん、すっごいおいしかった♪ありがと蓮くん」

「いや…君に喜んでもらえれば、それで良いから///」


こういうセリフは言えるのになぁ…


「香穂子…」

蓮くんが私の腰に手を回す


お世辞下手な不器用な彼の口付けはとっても甘い


「戸じまり…気をつけて。」


部屋まで送ってくれた蓮くんは、今日も泊まらず帰って行った







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<あとがき>
魚月もクロエのワンピが欲しい!!買えないけど。
魚月はジルが好きです♪服好きの魚月は気付くと服が増殖してしまうので買い物は気をつけています!
なるべく見るだけで我慢!!



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