君のトナリ













〜香穂子side〜



「蓮くん…今日も時間ずらすの?」

私は一緒に登校しようとしない蓮くんに聞いた。

土浦くんが迎えに来るようになってから蓮くんは登校をズラすようになった。
もちろん、土浦くんと反りが合わないことは知ってるけれど…
寂しかった。違う学校に通っていても同じ時間に通っていたのに。

「土浦と顔を合わせたくないからな…朝からは特に不快になる」

蓮くんはそう言うとソファに座って譜読みを始めた。

「じゃあ先に行くね?帰りは土浦くんに断るから、一緒に帰ろう?」

「香穂子…別に俺に気を遣わなくても良い……君は恋人と一緒にいられた方が良いだろう?」

「…………そうかもしれないけど…でも…」

「土浦に誤解されるぞ。俺が恋人ならそう思う…」

「そうかな…でも、幼馴染なんだし…」

「そんなことじゃ理解できないのが恋愛感情なのではないだろうか」

……なに?そんなのわかんないよ…

蓮くんは傍にいてくれるって言ったのに、段々と距離を置いてきているように感じた


寂しく感じる…こうして段々と二人の時間を減らしていこうとしてるの…?

どうして?







〜蓮side〜


土浦が迎えに来たらしく「じゃあ先に行くね」と香穂子が家を出ていく。

幼馴染という立場で彼女の一番近くにいられれば、男として見られなくても…
これは俺がそう考えて出した結論だ。

しかし彼女の傍にいるほど彼女が他の男と一緒にいる痛みを強く感じていた

毎週のデート…俺が見えない所で香穂子が他の男と一緒にいる

俺には引き留める権利もない

俺は黙って見送るしかない

そんな服を着ていくな!そんな髪型をするな!…全てが癪に障って仕方なかった


俺は相変わらず香穂子以外の女の子は受け入れられなかった


香穂子が土浦と付き合いだしてから、告白されることが多くなったが
誰にもなびかない…誰にも響かない


何年という月日が俺の中で積み重なってしまった…

君を想う時間が長すぎた


少しずつ離れて少しずつ忘れて…


俺には全てをリセットする必要があった


だから香穂子と距離を取る


少しずつ…少しずつ…














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<あとがき>
心の痛みに耐えられない蓮くんと寂しさを感じる香穂ちゃん
…そんな二人を次回でまた揺らします(笑)






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