タナトス







〜香穂子side〜




「葵…葵…」


何度彼の名前を呼ぶのだろう…

葵の色香に溶けてしまいそう

葵の瞳に魅せられて

どこまでも夢中になってしまう




葵には危うさがある



葵の心の奥にとてつもない闇があって

そこには踏み込めない


どうしたら踏み込める…?


踏み込みたい…


掴めない葵の心に…


どこまでも翻弄されて


掴めない葵の心に

どこまでも惹きつけられて



苦しくて仕方ない


何故だろう…

葵はどこまでも私の侵入を許してくれない


悲しくて

憎らしくて

愛しくて


窒息してしまいそう



この想いに息ができない




胸の奥で私の心が締め付けられる




苦しい


助けて欲しい


どうにかして欲しい


私を救って欲しい








〜葵side〜


彼女の素肌を味わって

彼女のぬくもりを感じて

彼女を穢して


苦しい…


「香穂さん…僕…溶けてしまいたい…」


香穂さんは僕を見ると微笑んだ


「私も…葵と溶けてしまいたい…」


僕たちは手を取り合った


離れないようにしっかりと手を結んだ


彼女はどこまでも美しくて

彼女はどこまでも誇り高くて

彼女はどこまでも僕を狂わす



君が好きだ…


僕は弱い…

苦しみから逃げたくて

恐怖から逃げたくて

不安から逃げたくて


君を巻き込んでしまうことを許して欲しい



そして僕をここまで狂わせた君が


本当に…愛おしい…







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<あとがき>
本当にめっちゃダークな仕上がりに…
加地葵…彼に魅せられた魚月…もう加地葵への魚月の想いかもしれません。
夢中になってしまう…。
本当ちゃんとコルダ2買おう…
ダークなものでしたが、ここまで読んでくださってありがとうございます。