「蓮くーんこれ見て」
香穂子が一枚の雑誌の切り抜きを持ってきた
「……13日の金曜日ジェイソンが現れる?」
「そう!なんと!この古い洋館に現れるらしいの!!
行ってみたいと思わない?」
「………バカらしい。こんなのメディアに踊らされてるだけだろう?」
どうせ何かの影が揺れたとかそういうオチに決まっている
「なによぉ!あ、わかった怖いんでしょう?」
「…………(怒)」
「行くよね?」
売り言葉に買い言葉…
香穂子の勝ち誇ったような言い方が癪に障って
結局“ジェイソン狩り”なるものをやることになってしまった
どうせ香穂子のことだ…俺が驚いた顔を見たいとかそういう発想で連れてきたんだろう…
さっきからどんなにイワクつきの所なのかを熱く語って俺の反応をイチイチ見ている
こんな所よりも俺の部屋で二人で練習したかったのだが…
「さぁ!入るよぅ!」
意気揚々と香穂子が洋館に入る
なるほどいかにもといったような無気味な造りだ
「な…なんか暗いね」
「ジェイソンを捕まえるとか言ってた勢いはどこに行ったんだ」
俺が笑みを浮かべて香穂子を見る
「なっ!別に怖いとか言ってないもん!蓮くんこそ怖いんじゃないの!?」
全く説得力のない声で香穂子が反論する
「悪いが、俺はそういう迷信は信じないタチなんだ…
それより君と練習がしたいからさっさと終わらせよう」
俺がスタスタと歩き出す
「れ…蓮くんちょっと待ってよ!」
ガタガタ…
「きゃぁぁぁっ」
香穂子が悲鳴を上げたかと思うと俺に抱きついてきた
「やぁっ…蓮くん…そこ…」
指さした方向を見ると猫が飛び出してきた
「ただの猫だ」
「えっ?知っ知ってたよっ///」
動揺を隠そうと必死の香穂子
「そういえば、猫はジェイソンが来る前触れとか君が言っていたな」
「うっ」
ゴトゴト
「きゃぁっ」
香穂子が俺の腕にしがみ付く
今度はさっきよりも力が入っていて
その…当たってしまう…
「か…香穂子…少し離れてくれないか?///」
俺は香穂子を諭そうと彼女を見た
キャミソール姿の彼女の胸元がしっかりと見えて
俺にしがみついているからか…その…その部分が…
くっきりと見えてしまうわけで…
「どうして…?蓮くん…やぁっ」
潤んだ瞳で彼女が俺を見つめる
まずい…
今、俺が猛烈にまずい
俺は少しでも先を急ごうとする
「やぁっ…蓮くん行っちゃうの?」
いや…その言葉が全て違う意味に聞こえてきてしまう
その間にも香穂子の胸がぎゅうううっと押し当てられて
――うっ…触りたい!
「かっ香穂子!もう俺がダメだ」
結局、その洋館に現れたのはジェイソンではなく
俺というオオカミだった
*****************************************************************************
<あとがき>
いや〜れんれん若いのぅ…。
魚月の香穂ちゃんは押され系の話が多いので今回書いてて新鮮でした☆
御題をくださったsunさまに捧げます♪
|