君はいったい誰なんだ…?
俺の下で嬌声を上げながら艶っぽく俺を見つめる君は…
香穂子と付き合うようになって数ヶ月
今までヴァイオリン以外には何も興味がなかったといっても過言ではない
俺の唯一興味の対象…それは香穂子だ。
女性と付き合ったことなどなかったから
どうすればいいとかそういうことは、よくわからなかったけれど
俺の部屋で二人っきりでいると
何となくそんな雰囲気になってしまうわけで
彼女の服を脱がせて
露になった白い肌を見ると俺の中がアツくなってきて…
俺は初めて触れる香穂子の感触に溺れた
彼女の首筋に胸に太ももに
飽きることなく舌を這わせて
彼女の中に俺自身を入れて放出した
最初はただただ夢中だったけれど
最近はやっと彼女の様子を伺いながら行為を行えるようになってきた
「…蓮く…ん」
とろんとした瞳で俺を見つめる
唇が少し開いていてそこから覗く舌が
俺をまた欲情させる
手を滑らせればしっとりとして滑らかな肌
華奢なのに柔らかな体のライン
何でそんなに俺の心をそそるんだ?
普段の君とは別人のようだ…
「おはよう」
「蓮くん、おはよう!いつもありがとう」
朝、彼女を迎えに行くと
いつものあどけない笑顔で俺を迎えてくれる
女性は本当にわからない…
つくづくそう思う
香穂子との練習の前に楽典を借りようと図書室へ向かった
すると、ちょうど香穂子…と土浦がいた
「わかんないよ〜」
「っだよ。お前、俺に聞かないで先生に聞けよ」
「だって、土浦くんの教え方上手だし…」
あぁ、普通科の課題のことか…
そういえば数学が難しいとか言っていた気がする
ぼんやりそんなことを考えて歩み寄ろうとした時だった
「だめ?」
土浦の制服の裾を引っ張って
首を傾げながら上目遣いでみつめていた
「っ///しょーがねーな。」
「やったぁ。ありがとう。」
俺は変な汗をかいた
なんだ…何か違和感を感じた気がした
早々にその場から立ち去って練習室へと向かった
「蓮くんお待たせ。課題終わらなくって」
「あぁ…気にすることはない。」
「ヴァイオリン特令〜とかで
私だけ課題減らしてもらえたりしないのかな」
あははと彼女は冗談を言いながら
ケースからヴァイオリンを取り出す
俺はじっと彼女を見つめる
いつもの香穂子だ…
そう、あどけない彼女だ…
「蓮くん?」
じっと見つめている俺を不審に思ったのか
彼女も俺を見つめてくる
次の瞬間だった
彼女が俺の袖を引っ張る
瞳を閉じて
桜色の唇が背の高い俺の方に向けられる
俺はその動作に固まる…
「…しないの?」
俺はその言葉にさっき感じた違和感を再確認する
「………俺のせいだ」
「え?」
栗色の大きな瞳が俺を見つめる
「俺が君を穢してしまったんだ…」
彼女は俺と付き合ったばかりの頃は恋愛に関して疎かった
むしろ無防備そのものだった
俺がその気で見つめても
何か変?とかいうような女性だったはずなのに
俺との行為にしても
最初は本当に恥ずかしそうにしていたはずなのに
あんなに艶っぽく
少女ではなく女になっていて…
さっきの土浦とのことにしても
他の男にまでその表情を見せるなんて
俺が…俺のしたことが…
「………私は穢れてるの?」
俯きながら震える声で彼女がそう言う
「私は穢れてるの?
蓮くんを…男の人を…知ってしまったから…?」
俺の袖を掴む手に力が込められる
「すごく怖かった…自分が変わっちゃう気がして
他のものになっちゃう気がして…
あんな声出して…本当に恥ずかしかった
でも…でも…蓮くんが喜んでくれてるから
それで良いんだって思ってたのに…
好きな人に愛されて幸せだって思ってたのに…
蓮くんは…蓮くんは…
汚いって思ってたの…?」
彼女の栗色の大きな瞳から涙があふれ出る
俺は自分が言ったことに後悔した
穢れているのは…俺だ…
彼女をそんな目でしか見れなくなっている
この俺自身なんだ…
彼女の体に溺れている俺自身なんだ…
「…すまない。不安になったんだ…
君に…どんどん夢中になって…
君はどんどん綺麗になっていくから…」
俺は彼女を腕に抱きしめた
「穢れているのは俺だった…
君は何も変わってない…」
「蓮くん…///」
彼女は俺の腕の中で幸せそうにしている
もうそんなことを考えるのはやめよう
彼女は彼女だ…何も変わっていないんだから
蓮くんは私の仕草に安心してるみたい
本当に男ってこうすれば安心するのね
上目遣いでちょっと見つめれば
コロっと頷くし…
蓮くん、さっきの訂正してあげる
穢れてしまったのは私も一緒よ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<あとがき>
うわ〜///恥ずかしいです。確か一番最初くらいに書いたSSではと…。
至らない点が多々ありますね;今もだけど;
|