身体中で言わせて欲しい










今日は愛しい先輩の誕生日

私は先輩にケーキをあげるなんて他の女の子と同じプレゼントなんて渡さないんだから


私が今年、先輩に上げようと思うもの…


それは私だ


先輩と付き合って何か月にもなろうとしているのに
先輩は私に手を出してこない


私なりに色々と短いスカートを履いてみたり

胸元が開いた服を着てみたりしているんだけれど先輩の前に全て惨敗で終わっている


むしろこうなれば意地だ!
意地でも先輩に手を出させて見せる!!!


私は心の中でめっちゃ意気込むと、リリの店へと向かった


「日野香穂子!失敗しないで使うのだぞっ!」

リリがいかにも怪しいという目で私を見る

「失敗しないよ!それに私が飲むんだし」

リリからもらったものは胸が大きくなる薬


やっぱり男の人は何だかんだで胸に弱いと思う


優秀な仮面と毒舌三昧な仮面…
二つを持っている先輩だって私の巨乳の前に崩れ落ちることに違いない


先輩のその光景を想像するとニヤニヤとしてきてしまう


「うう…;気持ち悪いのだ日野香穂子…お前は外見より、その内面をどうにかした方が良いのだ!」


作戦前に事もあろうに妖精に“気持ち悪い”と言われて気分が悪くなることこの上ない


けれど、タダで作ってもらった手前、我慢…


失礼な妖精リリにお礼を言うと私は先輩との待ち合わせ場所へと向かう


待ち合わせは私が予約しておいた練習室



頭にキュッとリボンを巻いて薬を飲む


部屋に入ってきた先輩は私にメロメロになっちゃうんだろうなぁ〜などと思うと
リリに気持ち悪いと言われたにも関わらず、緩む頬を止められない


なんだか段々、部屋が大きくなっていく気がする

ピアノってこんなに大きかったんだろうか?


そこへすさまじい足音が聞こえる


扉が開くと愛しい先輩が…先輩が巨大になっていた!!!


どうして?私はパニックでいっぱいだ


「香穂子?……ったく呼び出しておいて遅刻だなんて…あいつお仕置きだ」


ちょっ!困る!私は先輩より先に来ているのに

お仕置きが恐くて大きな声で先輩に叫んだ


「せんぱーい!先輩!巨人になった先輩!私はココです!」


先輩はキョロキョロと辺りを見回すと、やっと私に気がついた


「おっ…お前…何をやらかしたの?」

一瞬驚いた顔もすぐに呆れ顔に変わって私を持ち上げる


「自分が小さくなってること気づいてる?」


とても美しい顔のドアップでこう囁かれた




私は先輩に経緯を説明しリリの店へと向かってもらった


何と私はリリとほとんど変わらないサイズになっているではないか


胸はおろか、背も小さくなってしまっている

「おおっこれはすまないのだっ!我輩が入れるものを間違えてしまったらしい。
 人間で言えば砂糖と塩を間違えたようなものなのだ!」

人差し指をちょこんと上げながら何故だか得意げに説明したリリにブチギレだっ


「どうしてくれるのよっ!これじゃあまともに生活できないじゃないっ!」

「落ち着くのだ…幸いなことに効果は明日になれば消えるのだ!
 もう放課後だし、困ることはないだろう?」

放課後だから困るのだ!これから先輩とあま〜い一時を過ごそうとしてた私にはあまりにもムゴイ


「取りあえず…日野さんのお宅には僕から連絡をするとして…君は今日僕の家に来ればいいよ…」


リリの手前、先輩が外向きの顔をしながらも怒りを通り越した顔でチラリと見る


先輩の胸ポケットにポイっと入れられて正門前を歩いていると、柚木親衛隊がすぐ群がってきた


「柚木さま…お誕生日おめでとうございます。こちら私からのプレゼントですの」

「抜け駆けは宜しくなくてよ?私からのプレゼントも受け取ってください」

あちこちから声が聞こえて誰がどれなのかすら、サッパリわからない。

先輩は嫌な顔一つせずに受け取ると、待っていた車へと乗り込んだ

私も物のプレゼントにすれば良かった…
物どころか迷惑をプレゼントしてしまってる私はガクンと項垂れる




先輩の家に着くと厳格そうな先輩のおばあさんが玄関で待っていた


「梓馬さん、何をしていたのです?あなたの誕生日パーティがあるのですよ?
 大切なお客様を待たせるわけにはいきません。早く準備なさい。」

「はい。すみません。」

先輩はニコリとした笑顔を向けると自室へと向かって行った


先輩…そんなこと一言も言わなかった…私との待ち合わせの時間にも何の文句も言わなかった…

どうして…?毒舌なくせに…意地悪なくせに…



先輩はコンクールの時のようなタキシードに着替えると私をまた胸ポケットに入れた


「お前も来なきゃダメだよ…
 俺の誕生日をちゃんと祝わない罰として、つまらないのに付き合ってもらうからな?」

意地悪な笑顔とは裏腹に口調は優しかった


「おめでとう。梓馬くん」


どこの誰だかわからないけれど、偉そうなオジさんやオバさんに何度その言葉を贈られているんだろう。
そして先輩は何度笑顔の仮面で返しているんだろう。

会場には綺麗な女の人もいっぱいいて、みんな先輩の姿を見ると頬を赤く染めていた。


綺麗なドレス…格式が高そうな雰囲気…


たとえ姿がそのままだったとしても私はこの会場にはいられない…

先輩と自分の違いを、まざまざと感じさせられた


先輩はいずれ、この中の綺麗な女の人と結婚してしまうんだろうな…

そう思うとおめでたい日なのに、胸ポケットの中で涙が零れた




夜遅くになるまで続いたパーティがやっと終わり先輩の家へと戻った

また家族へ外向きの対応をすると先輩の自室に着いた

少しのため息と共に先輩がベッドに腰をかける



「お前…俺の誕生日だというのに泣いてるの?」

先輩の言葉にえっ?と上を見上げた

「ポケットに入れておいたハンカチーフが濡れてたからね。
 小さくなったりして…お前は俺の誕生日をそこまでして祝いたくないんだね?」

「ちがっ…」

「じゃあ何だよ?」

言葉に詰まった。

“先輩と自分の未来がないことを感じました”そんなことを言ったら、もっと暗くなってしまう。

台無しにしたくない…そう思うのに、先輩のように柔軟性のない私はただ黙るしかなかった。



「離さないよ」



先輩が呟いた。

「お前は俺を振り回した…だから俺もお前も振り回す…最後まで付き合ってもらうよ?
 もちろんお前に拒否権なんてないからね。」


「先輩…先輩の顔を見てちゃんとお祝したいです」

先輩が私を手の平に乗せて顔の近くまで持ってきてくれた


「…私は先輩が心安らげる場所になります。だから私のこと…ずっと振り回してください。
 これからもずっと…ずっと…」


先輩にキスをした

小さい私は先輩の下唇にしかできなかったけれど



軽く笑うと先輩は私の体を触ってきた

「もう24時を回ったよ…リボンがついているんだからコレがプレゼントなんだろう?
 一日遅れた分はきちんと付き合ってもらうからな」

私の体は元に戻っていて先輩に押し倒されていた

リボンを解いたと思ったら制服も脱がされていく



あなたに全てを捧げます

私にできる全てのことでお祝いしたいから

生まれたままの私の姿であなたにこの言葉を伝えたい

柚木先輩お誕生日おめでとうございます

そのままのあなたが…大好き










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<あとがき>
本当は甘々にしようかと思っていたのですが…
シリアスになってしまいました;
御題的に去年のバースディSSと似ています。
とにかく、柚木さまお誕生日おめでとうございます〜♪