昼休み、普通科校舎の屋上
いつものように葵くんとご飯を食べていた
「香穂さん、今度の土曜日はちょっと遠出しない?」
にっこりと頬笑みながら葵くんが私に話しかける
「遠出?どこまで行くの?」
「ふふっ。それはないしょだよ?」
唇に指を押しあてられた
「そっ…そういうことは恥ずかしいから止めて!」
「君の唇に付いてたクリームを取っただけ
違う方法にすれば良かった?」
「葵くんっ!!」
たぶん今、私の顔は真っ赤だ…
今は二人きりの屋上だからまだ良いけど
葵くんは、どこでも恥ずかしいセリフを言えるし、行動する
教室でも平気で「君以外の女の子なんて見えないよ」とか言うし
冷やかされる私の身にもなってもらいたい!
想いをストレートに伝えてくれるのは嬉しいけど…
「ごめん、待った?」
「ちょうど今来たところ。焦らなくても良かったのに」
指先だけ軽く手を繋ぎながら駅まで歩く
「どこに行くの?」
「船に乗ろうと思って。
ちょうど、父からクルージングの券をもらったんだ
あまり揺れないと思うけど…船とか大丈夫?」
「うん、へーき。船なんてそんなに乗る機会ないし、楽しみ」
「良かった。君が喜んでくれるなら、僕はそれだけで幸せだよ」
甘い笑顔と甘い言葉、やっぱり心臓に悪い
船の上からの景色はとってもキレイ
潮風もすごく気持ちいい
船の甲板に居ると葵くんに後ろから抱き締められる
「あ…葵くんどうしたの?」
「これで香穂さんが手を広げたらタイタニックになるね」
いたずらっぽく笑ってる葵くんに私は必死で抵抗する
「やめてよ。恥ずかしいっ!やだ///」
「どうして?沈んじゃうから?」
全然言いたいことが通じてない…いや絶対わかっててやってる!
私が鋭い眼で後ろを振り向くけど
全然動じることなく微笑んでる葵くんがいる
「海には沈まないよ…僕は既に君という名の恋の海に沈んでいるから
これからもずっとそのままだから」
「……っ」
やっぱり葵くんの言動は心臓に悪い
葵くんと一緒にいたら、この先もこうなるのかな…
とびっきり甘そうな未来を予感させた一日だった
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<あとがき>
は…恥ずかしい…///ホント、痛い作品に仕上がってますね(笑)
もう魚月が葵しか見えてないです。これに尽きます。
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