広場でヴァイオリンの練習をする私
今日はいつもより上手く弾けたかな?
外で練習するのはそろそろ終わりにしよう
まだ初夏だけど…陽射は結構強い
そろそろ切り上げようとヴァイオリンの弦を弛めだす
「日野さん、今日も素晴らしい演奏だったよ」
そう話しかけてきたのは加地葵くん
この学院に転校してきた同じクラスの男の子
「ありがとう…でも、まだまだだよ…///」
「そんなことない。君の演奏は本当に素晴らしいよ
清らかで他人を惹きつける…とても魅力的だよ」
正直、加地くんは少し苦手…
だって、こんなことばっかり言って///
からかってるのかなって時々思う
加地くんが来てそんなに日も経ってないのに
その容姿からすっかり有名人…
普通科で知らない人なんていないんじゃないかな?
加地くんに告白する人が後を絶たないって聞くし…
絶対にからかってる…
早々に退散したくて、私は機械的に楽器をしまった
「あれ…?帰るの?それなら、一緒に帰ろうよ
ダメかな?」
「…………」
私は加地くんを窺うように見た
悪意がないように微笑む顔
―――この人、なに考えてるんだろ…
「………いいけど…私と帰っても楽しくないと思うけど?」
つい、反発的な言葉を言ってしまった
「そんな楽しくないなんてことないよ。
僕は君といられるだけで幸せなんだから
それにしても、良かった。断られたらヘコむトコだったよ」
―――???
何言ってるんだろう…
断られてヘコむとか…加地くんなら引く手あまたなくせに…
加地くんと一緒にいるとやっぱり目立つ
なんていうか…加地くんはとても華やかだから…
だからこそ、加地くんがフツーの私を誘ってくる意味がわからない
「ねぇ、日野さん、良かったら寄り道していかない?
おいしいアイスクリームのお店が出来たんだって」
「…………いいけど」
ちょうど暑かったし…冷たい物が欲しかった
加地くんは、さっきまで練習していた私のことを察してくれたのかな…
まさか…あり得ない
「やっぱりおいしいね〜日野さんのもおいしそう。」
「じゃあ食べる?」
「えっ///」
加地くんが恐る恐る私を窺いながらアイスクリームに口を付ける
「こういうの間接キスっていうんだよね…?///」
「は…?」
隣に座ってる加地くんの頬が赤かった
「すっごいドキドキしてる///君のことが好きだから…」
「はい!?」
かっこいい人から告白されたというのに私は間抜けな声をあげてしまった
「ずっと…ずっと…好きだった…日野さんは本気にしてなかったみたいだけど…」
だって本気にするもなにも…
あんなこと言う?普通?
「改めて言わせて…
君が好きだよ…君の音色も…君の笑顔も…君の全てが好きだよ…」
「あっ………///」
あまりのストレートな言葉に私は暫し硬直してしまった
「君も同じ気持ちでいてくれると嬉しいんだけど…」
嘘でしょう!?
なんかの罰ゲーム?からかわれてるの?
「かっ…からかわないで…///」
「信じてもらえない?」
加地くんが悲しそうな瞳をした
「そりゃ…僕って遊んでるようなタイプに見えるかもしれないけど…
好きでもない女の子のために転校までしないよ…?」
私の頭の中はパニック状態で瞳が宙を浮く
その間も陽射を受けたアイスクリームが私の手へと流れてくる
「君の手が…汚れてしまったね」
「っ!?///」
こともあろうに加地くんは私の手を取ると丹念に舐め出した
「やっぱり、僕は君に夢中みたい
どんな高級なものよりもおいしく感じるよ…?」
爽やかに微笑む彼をボー然と見つめてしまう
「…………大げさだよ///」
彼のことを…彼の言葉を信じても良いのかもしれない
私と彼の恋愛が始まって
付き合うようになるにはそんなに時間はかからなそうだけれど
彼はどんなものよりも甘いから
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<あとがき>
加地ラブ!!魚月がどこまでも加地葵に夢中!!!
魚月には珍しく、小悪魔じゃない香穂ちゃんです☆
リクしてくださった相模さま、ありがとうございました〜
リクエストってあんまりないので、かなり嬉しかったです☆
ご満足していただければ幸いです♪
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