花火大会











「11日の臨海公園の花火大会、行こうよ」

そんな葵の言葉で始まって…今に至る


14時…自室に籠って私は浴衣と格闘していた

雑誌を見ながら何度も着つけるけど…
なかなか上手くいかない

帯の部分に拳一つ分くらいの隙間ができちゃって…
何だかとってもみっともない


ホントは既成の帯を買っちゃえば良かったんだけど
気に入った色はコレだったし
第一、葵に褒められたかったから


――18時の待ち合わせに遅れちゃう…



結局、私は浴衣を諦めて
夏らしい青いワンピースにした





「結構混んでるから早めに待ち合わせして良かったね」

葵と夜からデートなんて初めてで…なんだかとても緊張する



白いシャツにGパンなんてラフな格好なのに
葵が着ると特別なものに感じて私の心が高まるのがわかる…


「どうしたの?」


見惚れていた私に気づいた葵が不意にこちらを向いて
甘い笑顔でほほ笑む



「私、冷たいもの飲みたい」

紅潮する頬を隠すように少し俯きながら葵の裾を引っ張った



「そうだね、屋台もいっぱい出てるし、
 何か買ってから行こうか」

裾を握っていた私の手を葵の手が包み込む

「はぐれちゃわないように…なんて
 手…繋ぎたかったんだ…」

少し照れながら言う葵を見ると、私はドキドキして…しょうがなくなる


屋台でビンのサイダーを買って

臨海公園に着くと、そこは既に大勢の人で埋まっていた


かわいい浴衣を着た女の子が多いことが私の中にモヤモヤしたものを生む


「浴衣って夏って感じだね」


さらに追い打ちをかける葵の言葉がむしゃくしゃして止まらなかった



打ち上がる花火はとても綺麗で…サイダーの瓶に反射して
キラキラ止まらないのに

私の心は一向に晴れない



私は葵の手を放すと当てもなく歩きだす


「ちょ…香穂さん?」


慌てた葵が追いかけてきた


「どうしたの?僕、なにか気に障ること言った?」


「………浴衣着られなかったんだもん」

私は葵に背を向けたままで呟いた


「浴衣着てなくても…そのままでも可愛いよ?
 夏らしいって言っただけ…着なかったこと責めたわけじゃない…
 ごめんね…頑張ってくれたのに、そんなこと言って」


葵が私を優しく抱きしめた


「ちがうもん……葵が他の子…見るから…
 かわいい浴衣着た子見るから…っ」

葵が私を振り向かせると目線を合わせてこう言う


「君だって花火を見てたでしょ…?
 うっとりしながら…嫉妬しちゃったよ?
 こんなに君に夢中なのに…これ以上僕を求めるの?
 香穂さんはワガママだな…」


葵が甘く微笑んで私に口づけた



葵の後ろに花火が見えたようだったけど…


そんなの目に入らない…


私も葵に夢中だから














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<あとがき>
とろ〜〜〜〜〜んvv
ってゆーか「魚月が葵に夢中だから!!!」
えっと、めっちゃお礼作品になってませんが、3万ヒットお礼として捧げます〜〜〜